偉大なプロトコルと言語を設計するときには、未来ではなく、過去に目を向けるべきです。歴史を振り返ると開放型システム間相互接続のような、理論的には完璧であるが、なんらかの理由で実現されなかった素晴らしいアイデアを数多く見出せます。また、Javascriptや、TCP/IPなどから生まれた幸運の産物もあります。

歴史から学んだ原則としては次のものが挙げられます:

  1. 柔軟性から生まれた成果物から将来を予測することはできない
  2. 複雑であるということは理論上素晴らしいが、実際にはシンプルである方が良い
  3. 船頭多くして船山に登る
  4. 標準規格が決定されると、それが最適であるかどうかに関わらず従ってしまう
  5. 悪い考えであっても、意思が明確にあれば非常に良いものに進化することがある

カルダノとは、その社会的性質を受け入れている金融システムです。システムには、柔軟性と特定のユーザーのトランザクションの任意の複雑さに対処する能力が求められます。もしそれらの要求に応えることができれば、数百万の同時トランザクションに対応するための膨大な計算処理、ストレージ、およびネットワーク・リソースが必要となります。

しかし豊富なノードから奪い、貧しい人々に与えるような、公正なネットワークを実現するためのデジタル化された分散型ロビン・フットはいません。また我々にはネットワークをより良いものにするために自己犠牲を払ってくれるような信頼できる人間を雇う余裕もありません。したがって、カルダノの設計にはTCP/IPプロトコルの概念の1つである関心の分離を利用しています。

ブロックチェーンとは究極的には事実とイベント、そしてタイムスタンプを不変性と信頼性を持って記録し、それらに対して問い合わせを行うデータベースなのです。よってお金という観点から見れば、ユーザーが資産の所有権をブロックチェーン上で注文することと、これにプログラムの保存と実行によって複雑な計算処理を加えることとは、全く異なるコンセプトとなってきます。我々はアリスからボブへいくら送られたのか知りたいのか、それとも、その取引の背景を把握し、どれくらい送るべきなのかという決定に関与したいのでしょうか。

後者を選択することはイーサリアムが行なったように柔軟性があり、とても魅力的ですが、上記の設計原則を破ることになります。ストーリーを把握するということは、単一のプロトコルが任意のイベントおよびトランザクションを理解し、詐欺が行われた場合には仲裁を許可し、場合によってはトランザクションを取り消すことを意味します。

しかし設計者は各トランザクションに格納されるメタデータの設計において難しい決断を下す必要があります。アリスとボブの取引の背後にある物語のどのような要素が関連しているのか、それらは永遠に関連しているのか、いつデータを消去することができるのか、消去することが違法となることはないのかなどを考慮する必要があります。

加えて、いくつかの計算処理は、内密に行われるものです。たとえば、ある職場の平均給与を計算する場合、企業は各人の年収を公開しません。もしすべての処理が公にされるとしたらどうなるのでしょうか。また、この公共性によって 悪い結果へと導かれたら、どうなるでしょうか?

したがって我々は、会計処理とそれが行われる背景とを分離すべきであると判断しました。つまり、価値を計算の分離です。これはカルダノがスマートコントラクトに対応しないことを意味するわけではありません。逆に分離を明示的に行うことよって、スマートコントラクトの設計、使用、プライバシー、および実行をより柔軟に行うことができます。

カルダノにおいての公開台帳システムを担う階層は、Cardano Settlement Layer (CSL) と呼ばれます。CSLは会計処理を行うことが目的であるため、ロードマップには次の目標があります:

  1. 次のスクリプト言語をサポートする。一方は価値の移動を行い、もう一方はオーバーレイプロトコルのサポートを強化するものである
  2. KMZサイドチェーンが他の台帳システムと連携できるようなサポートを提供する
  3. より高度なセキュリティのために耐量子コンピューター電子署名方式を含むあらゆるタイプの署名方式に対応する
  4. 複数のユーザーの独自通貨に対応する
  5. ユーザーがネットワークに参加するにつれ、システムの機能が向上する真の拡張性を実現する
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