仮想通貨分野を深く知るにつれ、多くの概念的矛盾が生まれます。仮想通貨は、変更を行うことが難しくなるように設計されていますが、すべての技術と同様に、設計上の欠陥や進歩に対応するために変更を行う必要があります。ブロックチェーンは、中央集権化を防止するために作られましたが、そのシステムの変更、維持には強力なアクターが必要です。

最ももどかしいのは、ほとんどのステークホルダーが欠点とみなし、それを是正する必要があると認識しているにも関わらず、コンセンサスに至らない時でしょう。

ビットコインのブロックサイズに関する議論は、2年以上にわたり活発に行われてきました。ネットワークのピーク容量があるため、毎日総額十億ドルを超える取引が保留されています

一時的な解決のための単純なパラメータの変更でさえ行えないのであれば、そのシステム上にインフラストラクチャを構築するために何十億ドルをも費やす政府や企業は安心して投資することができるでしょうか。また企業は、設計の合理的なアップグレードも行えず、説明責任のないプロトコルに戦略的リスクを負う覚悟があるでしょうか。

歴史

歴史を振り返ってみると、インターネットの進化は、IPv4からIPv6への移行のような単純な変更でさえ数十年もの年月を要しました。現在も同様の状況なのです。しかしブロックチェーン技術とインターネットの間には異なる管理体制に従っているという点で全く対照的です。

インターネットはDARPAから開発された軍事プロジェクトであり、それは政府の強力な支援と、定評のある支援団体のおかげで成長してきました。インターネットは、ネットワークを独占しようとする企業の影響を受けることなく、非営利的な条件のもとで発展してきました。実際には、電子商取引は1992年に廃止されるまで NSF AUP に違反していたのです。

インターネットには企業が商業化を行う前に、すでに確固たる規格、原則、そして強い支持者がいました。しかしこれらは、AOLやマイクロソフトのような企業がActiveXのような独自の技術を開発して、ウォールガーデンを構築することを阻止できませんでした。またこの基盤では、Googleなどの次世代アクターが膨大なユーザーと大規模な資金でもって行う独自のアジェンダの推進を止めることはできませんでした。

レントシーキングを求めるマイナーや商人にとって、仮想通貨とは究極の商業的動機に基づいたエコシステムです。この点を考慮すると、仮想通貨の管理体制の進化は、最大限の利益をもたらす結果となりました。

たとえば、マイナーの利益率を向上させるために検証不要のマイニングが頻繁に行われていますが、これはマイニングの目的とその有用性を完全に無視しています。マイニングの集中化は一握りのアクターがビットコインのハッシュパワーの大半を管理することによってすでに起きています。

インターネットのように、仮想通貨を変えるにはコンセンサスが必要です。しかし特定のブローカーへの急速な集中化が発生し、変更が彼らにとって不都合である場合にはどうなるのでしょうか。

インターネットとは異なり、ほとんどの仮想通貨のブートストラップは利他的、または学術的な目的によって行われるのではありません。開発当初から、利益を得ようとするグループもあれば、その利益を確保するために配属された強力なブローカーもいます。

発足者らによる中央集権化は仮想通貨が常にその進化において直面しなければならない現実です。我々は、集中化を回避することはできませんが、少なくとも次第に分散されるように設計するべきです。

どのような要因が集中化を促進されるのか

カルダノでは、どのような要因によって集中化が促進されるのか、いかなる技術を適用すれば我々のプロトコルが次第にWebのような公共インフラストラクチャの奨励に繋がるのかの検討を行いました。

完全なる分散化は実質的に不可能、あるいは非生産的であることは認めざるを得ません。しかし、特定の要因を奨励することによってよりバランスのとれたシステムを形成することはできます。

第一に、クラウドセール資金の集中管理は、早期のプロトコルの迅速な開発を可能にする一方で、調達資金は最終的には多様化され、開発スピードもより体系的かつ慎重なペースに落とす必要があります。また資金調達は文化的、言語的、地理的偏見を避ける必要があります。

第二に、コミュニティが仮想通貨に関する技術の根底ある性質についてより多くの情報を取得していくにつれて、ロードマップに関する決定はコア開発者や財団によって集中化されてはいけません。プロトコルの変更を提案、検証、および制定するには、ブロックチェーンに基づいた方法が必要となります。

第三に、カルダノSLブロックチェーンを維持するためのインセンティブは、すべてのユーザーの集約的な要望に直接対応しなければなりません。我々は、コミュニティの意志とは独立している特定のアクターが出現することを許してはいけません。

一点目に関して言えば、カルダノは財務システムの統合を行わなければなりません。二点目に関しては、CSLによって調整されたシステムを通じて、カルダノ改善案を提案できるような正式なプロセスを導入する予定です。三点目に関しては、ウロボロスがエレガントな解決策を提供してくれると考えています。

上記のトピックに関してより詳しい情報を提供することができますが、ここでの議論の範疇を超えています。このメカニズムの設計は、不完全な理論と確固たる標準モデルが存在しない、最も複雑で相互依存する学問分野の1つです。

ここで第二章において解説した科学主導型のアプローチがうまく機能します。IOHKのVeritasチームはカルダノの参照財務モデルを開発するために、ランカスター大学のBingsheng Zhang教授率いるグループと協力して研究を行なっています。参照モデルは2018年の統合を目指しており、我々は2017年末までに論文審査のある専門誌にて公開されることを期待しております。

仮想通貨に関するプロトコル変更の正式な説明と検証方法に関してですが、このトピックは存在論的概論と多数のユーザーが参加するためのインセンティブメカニズムの両方を必要とするため、ほとんど理解されません。おそらくなんらかの代表民主主義的なプロセスが登場するか、Liquid Feedbackを使用することによって、より合理的な投票システムを提供できます。

この方向での研究においては、IOHKの正式な関与がカルダノの発展に少なからず貢献すると我々は考えています。出発点として我々は、参照財務モデルと共に、同意を得るためのいくつかの仕組みを導入します。決定的な解決策を検討するにはさらなる研究が必要です。

最後に、ウロボロスのインセンティブを向上させるための研究は、オックスフォード大学のElias Koutsoupias教授の監督下で行われています。ウロボロスの暗号基盤は拡張性に必要な技術とともに確立された後、債券、ペナルティ、エキゾチックなインセンティブの幅広い考察が参照プロトコルに追加されることでしょう。

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