フィンテックは単一の規格または共通の言語で構成されていません。アプローチ方法、決算および清算を担当しているエンティティ、ビジネスプロセス、会計に関わっているドメイン、変革、価値の移動には多様性があります。

単一の技術が優れているだけで、他のエコシステムが敗北を認め、アップグレードを示唆するのは理不尽です。たとえば、多くの人々はリリースしてから16年が経過しているWindowsXPを未だに使用しています。この悲しい状況はMacintoshにも同様のことが言え、1984年にリリースされた初期型Macintoshを2000年になっても使用している人々がいました。

消費者行動はさておき、一般的に企業のアップグレードサイクルはさらに遅くなります。多くの銀行は今もなおCobolで書かれたバックエンドを利用しています。インフラストラクチャが機能し、ビジネス要件を満たしていれば、コンプライアンスやセキュリティの問題以外でソフトウェアやプロトコルのアップグレードを行うインセンティブはほとんどありません。

まずカルダノでは、従来のシステムとカルダノとを橋渡しすることが何をもたらすのかを明確にする必要があります。相互運用性についてある程度確かなものを保証するためにはどのようなシステム、エンティティおよびプロトコルを目指すべきなのでしょうか。これらの架け橋は連合化または分散化することができるのでしょうか。あるいは取引所のように、ハッカーや、悪意のある所有者、また過激な規制機関のターゲットとなるシステム上の欠陥の中枢となってしまうのでしょうか。

カルダノには3つの懸念があります。まず、情報の表現とその正確さに対する信頼性です。次に、価値とそれに関連する所有権の表現です。最後に、エンティティの表現と、特定のユーザーがそのようなエンティティからどの程度信頼されているかです。

有用であるためには、伝統的な金融界とカルダノの間で情報と価値が自由に行き来する必要があります。そしてその評価を構築し、償還のための基盤を形成するために結果を記録しなければなりません。しかしそのようなことは本質的には、関与するアクターが主体となって管理しているのがほとんどです。ブロックチェーン上でそれらをエンコードすれば、世界規模かつ永続的なものとなるでしょう。

加えて、従来の世界では価値は常に自由に動かせるわけではありません。禁輸、制裁、資本統制、司法行為により資産が凍結する可能性があります。また相互運用が可能であるためには、価値が漏出するような常に開放された逃し弁を作ってはいけません。

最後に、エンティティのブランドと評判は、商業関係における基盤の1つです。ブランドを確立、維持、修復するためのマーケティングキャンペーンには、毎年数十億ドルが費やされています。人または団体に関して誹謗、虚偽、または誤解を招く主張がなされた場合、法的訴訟を求める権利を有します。とは言え、ブロックチェーンは歴史を曲解することなく永久的に保存しようとします。

我々がプログラミング言語を選択したのと同様に、カルダノがこれらの問題を普遍的に解決する理想的な方法は皆無です。むしろ、支持された意見になびくしかありません。

この情報の流れは信頼できるデータフィードと呼ばれています。それには情報源とコンテンツがあります。情報源には信頼の概念と誠実さを維持するかまたは欺くかのインセンティブがあります。コンテンツは任意にエンコードできます。

プロトコルスタックでTrusted Hardwareの対応を行う予定があることから、Ari Juel教授のTown Crierプロトコルをサポートすることしました。信頼できる情報源の存在を前提とすると、Town Crierはスマートコントラクトや他のアプリケーションで使用できる安全なウェブスクレイピングを可能とします。

Emurgo、IOHK、カルダノ財団が情報源のブートストラップリストを提供することになっています。今後これらのリストはカルダノの財務システムから派生した仕組みをコミュニティが利用することによって精緻なリストに置き換えられます。我々の希望は、評判システムが良好なデータフィードによって実現し、それによって徐々に信頼性と忠実性を向上させ、肯定的なフィードバックグループを形成することです。

価値の表現は、より複雑なトピックです。情報は、正確性、適時性、完全性が確立されていれば、プロトコルは信頼性が高い、決定論的な振る舞いをします。一方、価値はより繊細です。

一度トークン化されると、価値は一意のオブジェクトのように動作するはずです。情報はコピーして渡すことができますが、何かの所有権を表すトークン(たとえば所有権の証明書)は、2つの異なる台帳に複製して取引することはできません。この行為は、システムの完全性を破壊することになります。

従来のシステムとの相互運用性においてトークン化された価値を扱う上での課題は、トークンが台帳間を移動する際に信頼性、監視能力が変更されることです。たとえば、ボブがビットコインを所有していて取引所に預けた場合、ボブは取引所の台帳にて自身の所有権を主張していることになります。MtGOXの場合には、台帳は現実に沿うことなく、ユーザーは全てを失いました。

この問題は、従来の金融システムが仮想通貨内で発行されたトークンを認識する必要性が生じる際にさらに複雑になります。前述のように、企業はソフトウェアのアップグレードや新しいプロトコルへの対応に対して否定的です。このような状況では、明確な解決策を見出すことが困難になります。

カルダノでは、ユーザーに取引に関する豊富なメタデータを添付するオプションを提供し、それらを利用する業界標準が策定されることを期待しています。既に時代遅れの金融プロトコルをアップグレードするためにInterlederワークグループR3Cevらによる研究成果、国際的な義務づけなどいくつかの進展がありました。

しかし、従来のシステムから仮想通貨の台帳に送られてきた価値を定量化し、その有効性を証明する方法については、未だに課題があります。たとえば、ボブが銀行のオーナーで、ドルで裏付けされたトークンを発行した場合、彼はカルダノでのユーザー独自通貨のように、自身のトークンを台帳に送るためにいつでも両者をつなぐことができます。

カルダノは所有権を正確に追跡し、タイムスタンプや監査機能などの機能を提供してくれますが、仮想通貨はボブを正直な銀行家にすることはできません。彼は自身のドルトークンを実際のドルで裏付けしないことによって部分準備銀行を運営することができます。この詐欺は、ドル自体が電子台帳によって占められているトークンでない限り、仮想通貨によって検出することはできません。

最後に、インターネット上のエンティティの表現は、インターネットが発明された頃から存在する古典的なネットワーク問題です。大学、企業、政府機関、そして任意のユーザーは、なんらかの身元確認を行う必要があります。

そこで、ウェブの公開鍵インフラストラクチャ(PKI)ICANNのDNSシステムのような実用的で集中化された解決策が実装されました。現代のウェブを我々が享受していることを考えると、これらの解決策は拡張性及び実用性の両方を兼ね備えています。しかし、これらは企業がビジネス行うべきなのかを判断する際に必要な信頼性、信用性、及びその他のメタ特性など、より商業的なデータを提供できるわけではありません。

EBayのような多面的なマーケットプレイスの運営は、取引を完了するためのフレームワークと共に、メタデータをいくつか提供するビジネスモデルを構築しました。コンテンツ、イベント、ビジネスの品質に関する評判は、信頼された情報源からの評価によって大きく影響されることがよくあります。

評価が特定の情報源に左右されるという問題はカルダノにも起こりうることです。カルダノの目標の一つは、発展途上国のための金融スタックを提供することです。これを達成するための鍵となるのが、一度も会ったことのないアクターとの信頼を確立する能力です

あるエンティティの良し悪しが、コミュニティ全体としての実際のやりとりから導き出された有機的なプロセスではなく、単一のエンティティまたはエンティティのコンソーシアムによって分類される場合、彼らは自らの判断基準に基づいて任意のエンティティをブラックリストに載せることができます。この力は、プロジェクトの価値観に反しており、仮想通貨の利用を大幅に妨げます。

幸いにも、財務に利用される投票システム、信頼できるデータフィードのリストに情報源を追加する方法、プロトコルのフォークに利用している仕組みは、評判システムを確立するために再利用できます。これはオープンな研究領域であり、カルダノのより基本的な要素が定着した2018年から2019年の間に、分散型評判システム、すなわち信頼できるウェブにオーバーレイプロトコルを提供する予定です。

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